Proposal
受発注業務のAI自動化
に関するご提案
2026年8月20日ヒアリング内容にもとづく
エグゼクティブサマリ
- 課題 — お客様からFAX・メールで届く注文書を、事務員の方が目で読み取り、メーカーのウェブシステムと自社基幹システム(大塚商会製)の両方へ二度入力されています。月間約15,000件(1日約700件)にのぼる受注処理に、営業事務員6〜7名がほぼ終日従事している状態です。
- 提案 — FAX・PDF注文書をAI-OCRで読み取り、基幹システムへ自動転記します。あわせて自社在庫の有無で「自社出荷」か「メーカー発注」かを自動判別し、相見積もり業務ではAIが各社からの回答メールを読み取って金額を比較表にまとめます。
- 期待効果 — 受発注処理を「手入力」から「確認だけ」へ圧縮します。まずは1メーカー・1様式のスモールスタートで効果を確認したうえで、対象を広げるかをご判断いただける進め方とします。
御社の課題認識
先日のお打ち合わせで伺った内容をもとに、以下のように理解しております。
2-1. 二重入力の負担
お客様からのご注文を、まずメーカーのウェブシステムへ入力し、さらに自社の基幹システム(大塚商会製)へも手入力されている、という二度打ちの状態にあります。松谷様のお言葉をお借りすれば、
「エクセルというのはあんまり使っていなくて、社内システムは(メーカーのシステムとは)別なので、二重に注文入力しているような感じになっちゃうんですよね」
とのことでした。御社の業務のやり方そのものを変えるのではなく、システムとシステムの「間」を自動化することで、この二度打ちを解消できると考えます。
2-2. 膨大な処理量
正式な注文だけで月間約15,000件(1日あたり約700件)の受注処理があり、営業事務員6〜7名がほぼ終日この業務に従事されています。
「営業マンはどちらかというと外回り。営業に行っている間は(受注処理を)ほとんど女性の事務員がやっている感じですね」
繁忙期には注文が一気に集中し、「回らなくなってしまう」というお話も伺いました。人を増やすことでの対応には限界があり、仕組みでの解決が必要な局面にあると理解しております。
2-3. 非定型データの処理
注文書はFAX・メールなど媒体や様式が異なります。FAXについては現在クラウドワークス(DocuWorks)で電子化・文字起こしをされていますが、
「特徴的な字とか、乱雑な字で書かれているファックスについても、結構AIは精度高く読み取ってますね、最近だと」
という手応えも既にお持ちです。読み取り自体の精度は実用段階にあるという前提で、次はその後工程(基幹システムへの転記)を自動化することが論点になります。
2-4. 相見積もり業務の工数
自社に在庫がない場合、複数社へ見積もり依頼を送り、回答を集めて金額を比較・選定するフローが発生しています。
「その回答を待つまでに、だいたい1週間くらいかかっている」
「受信ボックスに来たメールをAIがまとめて、金額だけ見積もりの回答を出してくれるみたいなイメージなんですかね」
見積もり依頼書の作成自体は営業側の既存業務であり、弊社がお手伝いする範囲は「届いた回答の整理・比較」に絞られるとご案内した点も踏まえ、スコープを明確にしてご提案します。
【業界動向】 受発注業務の非定型データ処理では、LLM(大規模言語モデル)を用いたOCRが実用水準に達し、手書き・多様な様式の帳票でも読取精度が大きく改善しています。「精度100%を待つ」のではなく「AIが自信のない箇所だけ人が見る」運用が現実解になりつつあります。
ご提案内容
3-1. 全体像
御社の業務のやり方を変えず、システムとシステムの「間」を自動化する方針でご提案します。
3-2. 技術的なポイント:基幹システムに手を加えません
大塚商会製の基幹システムに直接手を入れる、または高額なカスタマイズを行う必要はありません。画面の中身を理解して操作する技術(Playwright等のブラウザ自動操作)や、システム間をつなぐワークフローエンジン(n8n)を使うことで、基幹システム側の改修なしに連携します。関川からご案内した「比較的安価に、システム同士をつなぐ技術」がこれにあたります。
3-3. 業務フローの変化(Before → After)
| Before(現状) | After(導入後) | |
|---|---|---|
| FAX・メール受注 | 事務員が全件を目で確認し、メーカーサイト・基幹システムへ二重入力 | AIが自動転記。確信度の低いものだけ人が確認 |
| 在庫の有無判断 | 事務員が都度確認して振り分け | 在庫データと連携し自動判別 |
| 相見積もり回答の管理 | メールのスレッドで属人的に確認・比較 | AIが金額を抽出し比較表を自動作成(発注判断は人) |
| 繁忙期の対応 | 人力のため対応しきれず処理が滞留 | 処理量が増えても自動化部分は影響を受けにくい |
3-4. 今回のスコープについて(重要)
- 見積もり依頼書の作成自体は対象外とし、届いた回答の整理・比較を支援範囲とします
- 基幹システム側の改修・追加開発は行わず、既存システムはそのまま活用します
- 在庫連携の具体的な操作フロー(在庫管理メニューの仕様)は次回までに確認させてください
類似事例
事例①|食品・農産物輸入卸A社(FAX受注のAI-OCR自動化/進行中)
FAX注文書を人が読んで基幹システムへ手入力する二重入力構造に課題を抱えていました。基幹システムにAPIの入口がなく連携を断念しかけていましたが、ブラウザ自動操作技術で基幹システムを改修せずに連携する設計を採用。あわせて、部署ごとに分断されたデータを紐付けた資金繰り予測も段階的にご提案しています。
→ 御社への示唆:御社の大塚商会製基幹システムについても、改修なしで自動転記を実現できる可能性が高いです。API連携の可否によらずご提案が可能です。
事例②|中堅建設業A社(従業員200名規模/n8nによる業務自動化/受注)
複数のシステム(勤怠システム・車両運行記録・各種申請)にデータが分断され、経理部が手作業で突合・帳票作成を行っていました。既存システムを入れ替えず、n8nで各システムを自動連携し、異常値のみSlackへ即時通知する仕組みを構築。金額は数十万円規模で、既存ツールをそのまま活かせる点をご評価いただきました。
→ 御社への示唆:メーカーのウェブシステム・自社基幹システムを入れ替えずに、間をつなぐだけで二重入力を解消できます。
スケジュール・体制
「小さく試して、効果が確認できれば次の段階へ」という進め方を想定しています。
| フェーズ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| Phase 0 | 業務フローの棚卸し・時間計測。実際の注文書サンプル収集、1件あたりの処理時間の実測 | 2〜3週間 |
| Phase 1 (スモールスタート) | FAX・メール受注の自動転記/1メーカー・1様式に限定。読取精度と運用フローの検証 | 約1.5ヶ月 |
| Phase 2 | 対象メーカー・取引先の横展開。在庫連携によるルート自動判別の実装 | 約2ヶ月 |
| Phase 3 | 相見積もり業務の支援(回答メールの読取・比較表作成) | 順次 |
Phase 1 で効果が見込めないとご判断された場合、そこで終了いただいて構いません。
体制:AIコンサルタント1名(業務設計・優先順位づけ)/エンジニア1名(実装・基幹システム連携)。定例ミーティングは隔週または月次でご都合に合わせます。
概算費用
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 伴走支援(月額) | 月額20万円〜35万円程度 | AIコンサルタント+エンジニアが稼働。業務設計から実装まで含みます |
| 初期費用 | 別途ご相談 | Phase 0 の範囲によります |
| ワークフロー運用費 | 月額5,000円〜1万円程度 | n8n(クラウド版)。処理件数が増えても大きくは変わりません |
費用対効果の考え方(試算モデル)
正式な工数は Phase 0 の実測でご提示しますが、目安としての考え方は以下のとおりです。
- 現状:1日約700件 × 1件あたりの二重入力時間(想定1.5〜2分) ≒ 1日あたり約17.5〜23時間相当の作業量
- 導入後:確信度の高い注文は自動転記、確信度の低いものだけ人が確認(自動化率は運用しながら引き上げ)
- 自動化率が仮に7割まで到達した場合、作業量は現状比で6割前後の圧縮が見込める試算です
上記は目安であり、正式な数値は9月9日以降のヒアリングで1件あたりの処理時間を実測したうえで確定します。
なお、パッケージ製品の買い切りではなく伴走型としているのは、御社の業務フローに合わせて作り込むためです。既製パッケージに合わせると、かえって非効率になる作業が発生するケースが多く見られます。
ネクストステップ
① 次回のご確認事項
| # | 確認事項 |
|---|---|
| 1 | 決済権限:システム導入の最終決定を澁谷様が単独で行えるか、他に決裁ルートがあるか |
| 2 | 在庫管理の操作フロー:在庫管理メニューにおける具体的な操作手順とAI連携の可能性 |
| 3 | 実際の注文書サンプル:FAX・メール双方の数種類(お客様名は伏せていただいて構いません) |
| 4 | 1件あたりの処理時間:受発注業務・営業事務の作業時間の実測値 |
② 次回お打ち合わせ
9月9日(水)16:00より、上記を踏まえた具体的な効率化フローと概算見積もりをあらためてご提示します。